【書籍】新着書評/感想の一覧

歴史学とは何か。

対象:歴史とは何か

どこかの大学が出していた教員推薦図書一覧の中にあったので、タイトルに惹かれて読んだ。 事実と価値観 本書は、「事実」と「価値観」について、かなり踏み込んだ検討をしている。 個人的には、本書が示している次の2つの考え方に触 […]

結果を出さなければならない。何としても。

対象:プロフェッショナルマネジャー

ある本を読み始めるかどうかは、誰がその本を薦めているかに大きく依存すると思う。 そこで、本書を薦めている人物、柳井正氏が本書の冒頭に記載している文章を紹介したい。 本書に出合い、「これが経営だ」と得心するものがあった。『 […]

ハングリー精神

対象:起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男

リクルートの創業者である江副浩正の生き方を描いた本 言わずと知れた上場企業リクルートは、現在でも多くの起業家を輩出する有名企業だ。そのリクルートはどんな人が創業したのか。 最後はリクルート事件の首謀者として失脚した創業者 […]

イマジネーションと無限の可能性

対象:新版 宇宙に命はあるのか 生命の起源と未来を求める旅 (SB新書 655)

プロジェクト・ヘイル・メアリーを購入したとき、同じ本棚に有り、気になったので購入しました! タイトルが「宇宙に命はあるのか」となっているので、生命科学的な話が多いのかと思っていました。 しかし、宇宙を目指した複数の人物の […]

科学者と技術者

対象:プロジェクト・ヘイル・メアリー

後輩のオススメの本を、ようやく読みました。 今年読んだ三体と同じ宇宙SFです。 著者は火星の人で有名なアンディ・ウィアーです。火星の人は「オデッセイ」というタイトルで映画化されています。 この著者の発想力がぶっ飛んでる… […]

パターンを否定することは可能か

対象:現代思想入門

寝ながら学べる構造主義を読み終えて、「じゃあ現在は、どういう思想家がいるんだろう?」と思い、読み始めた。 本書は、現代思想に至る思想の流れも説明してくれるので、非常に勉強になった。 たとえば、構造主義とポスト構造主義の違 […]

自由意思の行方|再考

対象:寝ながら学べる構造主義

「構造主義」については、レヴィ=ストロースの考え方というイメージしかなかった。 正直、「生まれ育った環境によって考え方は左右されるよ!」とか、そういう考え方のイメージしかなかった。 この本を読んで、もう少し深い考え方であ […]

ゴッホとゴーギャン

対象:リボルバー

楽園のカンヴァスぶりに原田マハの美術ミステリを読んだ。 一時期共同生活を送ったゴッホとゴーギャンをめぐる小説。 相変わらず、作者の美術に対する造詣の深さに脱帽する。 この小説を読むだけで、ゴッホとゴーギャンの人生を一望で […]

失敗せよ!

対象:失敗の科学

多様性の科学を読み、著者マシュー・サイドの他の本も読んでみたいと思い、読みました。 本書の目的は、本文中にある通り。 オーストラリア、グリフィス大学のシドニー・デッカー教授によれば、失敗を不名誉なものととらえる傾向は少な […]

人の真価はいつ発揮されるか?

対象:夜と霧[新版]

めちゃめちゃ有名な本。 ちゃんと最初から最後まで読んだことはなかったので、読んでみました。 オーストリアで精神科医として働いていた著者は、第二次世界大戦中、ナチスがオーストリアを併合したとき、強制収容所に収容されました。 […]

遺伝は遺伝しないとは?

対象:教育は遺伝に勝てるか?

行動遺伝学を専門とする著者が、遺伝が行動に及ぼす影響を説明する本です。 第1章を読むだけでも、書籍代分の価値が十分にあります。 「遺伝」と聞くと、「両親の性格や能力を受け継ぐこと」と連想してしまいます。 しかし、本書の第 […]

なぜ哲学を学ぶべきか?

対象:武器になる哲学

現実社会を生きていくために哲学がどう役に立つのかが分かる本です。 概念論に終始する本ではなく、また特定の考え方を押し付けようとする本でもありません。 そのため、初めて哲学に触れようとする方に、とてもオススメです。 哲学を […]

すべての問いは、論理的に正解が導けるか?

対象:理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性

私は、学生時代、「すべての問いは、論理的に正解が導ける」と考えていました。 しかし、社会人になってみると、この考えが誤りであったことに気が付きます。 完全な正解を導くことはできず、日々の(思考実験を含む)実験の中で、他の […]

異星人との情報戦

対象:三体

地球以外の惑星にも知的生命体が存在し、その知的生命体と接触することになったとき、何が起きるのか。 久しぶりにSFを読みました。読み応えがあり、SFの良さを再認識しました。他のSFも読んでいきたい。 本書のテーマである異星 […]

多様性の価値の源流とエコーチェンバー現象

対象:多様性の科学

近年何かと話題な「多様性」に関する本。 「多様性っていいよね!」 と言うのは簡単だけど、 「なんで?」 と聞かれると困ってしまう人も多いんじゃないでしょうか。 この本は、その疑問に対する2つの回答を提示しているように読め […]

3ステージモデルの瓦解

対象:LIFE SHIFT

「少子高齢化」という言葉には、悪い印象があります。 本書は、このうちの「高齢化」をプラスの形で取り込む方法を検討しています。 個人の視点 本書によれば、高齢化は、人生のマルチステージ化を促します。 高齢化により、「教育と […]

物語のすゝめ

対象:0ベース思考

「ヤバい経済学」と「超ヤバい経済学」の著者による本です。 …面白くないはずがない。 実は3年ぶりぐらいに読み直したので、読んだのは2回目だったのですが、やはり面白かったです。 概要 「ゼロベースで考える」という言葉は、日 […]

人の本質に迫る!

対象:影響力の武器[第三版]

年末年始の帰省中に、4年ほど前に読んだ「影響力の武器」を読み返してみました。 人の行動に影響を与える方法を、いくつか紹介している本です。 有名な本なので紹介は不要かもしれないですね。 いくつかの方法が人の行動に影響を与え […]

模倣理論の入門書

対象:欲望の見つけ方

X(旧「Twitter」)でオススメされていたので、読んでみました。 本の帯に「本書はルネ・ジラールについて書かれた最もわかりやすい入門書である」というピーター・ティールからの推薦文が書かれていて、その点でも興味を持って […]

倫理的問題を論理的に考える方法を学ぶ

対象:哲学ディベート 〈倫理〉を〈論理〉する

本書は、様々な倫理的見解を紹介しつつ、それを用いて倫理的問題を論理的に分析しようとする本です。 その手法は、「神の命令理論」に関する次の指摘にも表れています。 ある行為は、①神がそれを命じるから善であるのか、②それが善で […]

倹約、倹約、倹約

対象:となりの億万長者 〔新版〕 ― 成功を生む7つの法則

本書は、アメリカの億万長者の生態をデータに基づいて分析した本です。 「億万長者」の生活という言葉を聞いた時、どのような生活を思い浮かべるでしょうか。 本書が示す「億万長者」の生活は、多くの人が思うものとは大きく異なるもの […]

つきあい方の科学

対象:つきあい方の科学

ゲーム理論に興味を持ったので、読んだ。 有名な反復囚人のジレンマの実験を行ったロバート・アクセルロッドの著書。 目次 エゴイストと協調関係囚人のジレンマ反復囚人のジレンマ反復囚人のジレンマのゲームから得られる教訓最後に […]

虚構を語る力こそが人間を変えた⁉︎

対象:サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

「シリコンバレー最重要思想家 ナヴァル・ラヴィカント」で「私がここ10年間に読んだ中で最高の一冊だ。何十年も費やして書かれた労作。数々の珠玉のアイデアがどのページにもぎっしり詰まっている。」として薦められていたので、読む […]

東ローマ帝国の滅亡

対象:コンスタンティノープルの陥落

東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の滅亡までの数カ月を描いた物語 1453年 1453年、オスマントルコ帝国のマホメッド2世は、東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の首都コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)を攻め、東ローマ帝 […]

久しぶりの読書に最適

対象:シリコンバレー最重要思想家 ナヴァル・ラヴィカント

ナヴァル・ラヴィカントって誰? 本書は「ナヴァル・ラヴィカント」の発言をまとめた「語録」といっていい。 では、ナヴァル・ラヴィカントとは、誰なのか? ナヴァルはインド生まれの連続起業家であり、Twitterやウーバーに対 […]

才智と胆力

対象:最後の将軍 徳川慶喜

最後の将軍、徳川慶喜を題材とする本。 江戸時代は、1603年から1868年までの約260年間を指すといわれる。この江戸時代の第15代将軍が徳川慶喜である。 城山三郎の雄気堂々の主人公、渋沢栄一の恩人とされる。当然、雄気堂 […]

1983年の名著

対象:思考の整理学

30年間で200万部以上売れたロングセラー。 高校生の頃から、存在は知っていた。大学受験との関係で出題対象になることが多かった印象のある本。 大学生になると、東大生・京大生が支持する本として、書店等でよく見かけた。 出版 […]

「より良く」>「もっと」

対象:ステイ・スモール 会社は「小さい」ほどうまくいく

規模の拡大こそ善とする価値観に一石を投じる本。 カンパニー・オブ・ワンとは 大きい会社の方が素晴らしい会社である。そう考える人は、おそらく少なくない。本書は、そのような考え方を疑問視している。 そのために「カンパニー・オ […]

戦争とは何か。

対象:坂の上の雲

松山藩出身の3人の登場人物を題材に、明治維新後、日露戦争までの日本を描く小説。 登場人物 登場人物の1人は正岡子規。俳句や短歌の革新運動を進め写生論を提唱した人物。 その正岡子規の親友であった秋山真之。日露戦争において、 […]

変化を受け入れる

対象:LIFE SHIFT

大学を出て、企業に就職し、結婚をし、家を買い、定年を迎えれば引退してそのまま悠々自適な生活を送る親世代が当たり前に送ってきたそんな生活を僕たちも同じように送ることはできない 転職・副業・リスキリングが取り上げられてきたこ […]

現実主義者「渋沢栄一」

対象:雄気堂々

「近代日本経済の父」と称される渋沢栄一の伝記的小説。 一昨年の大河ドラマの影響で渋沢栄一に興味を持ち、読んだ。 渋沢栄一は、日本の偉人の中でも、特に見習うべきどころが多い人物だと思う。 転身の多かった渋沢栄一の生涯 幕末 […]

バナナ食って整腸剤飲んでぬいぐるみ抱いて寝ろ

対象:しつこい不安感が必ず消える セロトニン復活ストレス解消法【対話版】: 脳と腸の仕組みから紐解く最短最善のメンタル改善手順とオキシトシン分泌法

ストレスに悩む青年とカウンセラーの対談という形式でストレス解消法について論じられている対話形式といっても以下のように漫才みたいなもので読みやすい 青年 「天音先生、最近よく眠れないのですが。」先生 「ストレスや生活習慣な […]

善く生きるために。

対象:身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質

反脆弱性の作者であるタレブの本。 あいかわらず、口が悪い。切れ味は抜群。 おばあちゃんや年配者のアドバイスは、9割方、正しいと考えていい。対して、心理学者や行動科学者が書いたものは、1割も正しくない。 タレブらしさが分か […]

京都、嫌いになるわ

対象:京都ぎらい

京都府京都市右京区嵯峨(洛外)出身の筆者が書く、京都市中心部(洛中)の人々の中華意識をこき下ろす分析する作品。 私自身、もともと京都にそんなにいいイメージがなかったため、その意識が若干強まる結果となった。 序盤は、洛中の […]

身銭、切れてますか?

対象:身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質

はじめに断っておこうこの著者、めっちゃ口が悪い だが、言っている事は非常に論理的で博識で強い信念を持っている 本書は、この不確実性が増した世界でどのように生きていくかの明確な指針を伝えてくれるその指針とはタイトルにある通 […]

人間の本質と君主政

対象:君主論

君主政について説いた本。 意外にサクッと読めた。 論理的思考の現れ すべての政体は、すなわち昔から今まで人びとの上に政治権力を行使してきたすべての支配権は、昔も今も共和政かさもなければ君主政である。君主政体は、その支配者 […]

中絶合法化が犯罪を減らす?

対象:ヤバい経済学―悪ガキ教授が世の裏側を探検する

ヤバい経済学(フリーコノミクス)に関する本。 フリーコノミクスは、筆者が打ち立てた学問分野らしい。冗談かもしれない。 データ分析の面白さ 大学生の時に読んだが、改めて読んでみた。 シンプルに、面白い。 データ分析の面白さ […]

宇宙人がいるとして、なぜ接触できない?

対象:三体

宇宙人は存在するのか? そんな事を考えたことはないだろうか?私はあるなんなら確率的には存在しているに違いないと確信しているではなぜ宇宙人は見つかっていないか「ただ人類が見つけれていないだけ」「宇宙人の文明レベルが低いだけ […]

人間の脳をハックするスマホ

対象:スマホ脳

今あなたが目を向けているスマートフォン本当に便利だけど、薄々気づいているように便利なだけではなくそこには大きな落とし穴も隠されている 私達はどうしてもスマホが気になってしまうテレビを見ながら、ゲームをしながら、誰かと食事 […]

SFってやっぱり面白い

対象:プロジェクト・ヘイル・メアリー

2015年公開の映画「オデッセイ」その原作である「火星の人」の著者であるアンディ・ウィアーの第3作目となる本作品本作も2024年初頭に撮影開始とされている実績のある作品だ 近年読んだ小説の中でも最高の作品だったSF作品と […]

自由とグラデーション

対象:ニューヨーク、雨でも傘をさすのは私の自由

ニューヨークに9年間滞在した筆者が同地での生活を描いた本。 ニューヨークでの生活のリアルを感じられる。 具体的な地名や店名が多く登場する。ニューヨークに行く直前に読んだら、旅や海外生活の楽しみが倍増しそう。 ただ、不勉強 […]

熱中できるものを探せと言われても…

対象:暇と退屈の倫理学

暇と退屈について哲学者が考察した本。 初めて哲学に触れるのに良い本だと思う。 退屈論の意義 この本のタイトルは暇と退屈の倫理学である。 まず筆者は、暇と退屈を考察する意義を示している。 大雑把にまとめれば、次の通り。 退 […]

美術ミステリー小説との出会い

対象:楽園のカンヴァス

アンリ・ルソーが1910年に描いた「夢」を題材にした美術ミステリー小説。 はじめて美術ミステリーと呼ばれるジャンルの小説を読んだ。 これまで美術にまったく興味がなかったが… めちゃくちゃ面白かった。 原田マハの近代美術に […]

注目を育てる7つのトリガー

対象:アテンション

注目を集めるための手法を整理した書籍。 全体を通じて、チャルディーニの「影響力の武器」に近いものを感じた。本文中でもチャルディーニへの言及がある。 即時の注目を集め、それを短期の注目に成長させ、最終的には長期にわたる注目 […]

未知の文明との邂逅

対象:三体

テーマは「未知の文明との邂逅」か。 約4光年離れたアルファケンタウリの文明と接触する話。 三体問題として扱われる、3つの太陽を持つこの文明は、三体文明と呼ばれる。 主人公の葉ぶんけつ(舞台が中国なので、登場人物の名前が軒 […]

多様性がもたらす影響と日本における多様性

対象:ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

イギリスのブライトンで暮らす日本人の作者が、自身の息子(ハーフ・アンド・ハーフ)の中学生活を描いた作品。 作者と息子の日常が描かれており、イギリスでの生活のリアルを知ることができる。 多様なバックグラウンドを有する人々は […]

言葉の力

対象:本日は、お日柄もよく

主人公は30歳手前のOL 恋心を抱いていた幼なじみの結婚式から物語は始まる。 そこで出会った伝説のスピーチライターのスピーチに感銘を受けて、弟子入り。 幼なじみは、政権野党のNo.2の息子だが、普通に広告代理店に勤めてい […]

ストーリーと知識と信念

対象:本日は、お日柄もよく

原田マハ氏の小説をはじめて読んだ。 スピーチライターという馴染みのあまりない職業にスポットライトを当てた作品。 スピーチライターという職業は、まだ日本ではあまり馴染みがないが、アメリカでは既に重要な役割を担っているらしい […]

すべてをコントロールすることは可能か?

対象:反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

現代人の多くは「予測」が好きだ。 すべての物事は線形的に予測できるものだと信じ、将来をコントロールし、トラブルを避けようとする。 本書は、そのような現代人の特性を指摘し、その特性から生じる問題点を鋭く指摘しているように思 […]