書籍情報|哲学ディベート 〈倫理〉を〈論理〉する
「哲学ディベート 〈倫理〉を〈論理〉する」のあらすじ(楽天ブックス)
「哲学ディベート 〈倫理〉を〈論理〉する」のキーワード
定言命法
文化普遍主義
神秘的快楽主義
感想/書評|倫理的問題を論理的に考える方法を学ぶ
本書は、様々な倫理的見解を紹介しつつ、それを用いて倫理的問題を論理的に分析しようとする本です。
その手法は、「神の命令理論」に関する次の指摘にも表れています。
ある行為は、①神がそれを命じるから善であるのか、②それが善であるから神が命じるのか、のどちらかです。ここで①を仮定すると、神の命令は恣意的であることになり、「神が善である」という命題そのものが、論理的に無意味になってしまいます。そこで②を仮定すると、神の命令からは独立した善悪の基準を認めざるをえなくなります。つまり、善悪の議論に神を持ち込むことはできなくなるわけで、いずれにしても「神の命令理論」には論理的な問題があるという結論になります。
なお、神の命令理論とは、「神によって命令されたことを道徳的な善とみなし、神によって禁じられていることを道徳的な悪とみなす理論」です。
本書で紹介されている倫理的見解には、次のようなものがあります。
- 黄金律(聖書)
- 己の欲せざるところ人に施すことなかれ(孔子「論語」)
※ 反脆弱性では「白銀律」として紹介されている - 定言命法(カント)
- 利己主義
- 快楽主義
- 利己的快楽主義
- 神秘的快楽主義
- 功利的快楽主義
- 功利主義
- 文化普遍主義/文化相対主義
本書では、これらの倫理的見解を用いた議論を通じて倫理的問題を論理的に分析しています。
倫理的見解の説明も分かりやすく、これまであまり哲学に興味を持ってこなかった人にとっても読みやすいかもしれません。