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感想/書評|ゴッホとゴーギャン
楽園のカンヴァスぶりに原田マハの美術ミステリを読んだ。
一時期共同生活を送ったゴッホとゴーギャンをめぐる小説。
相変わらず、作者の美術に対する造詣の深さに脱帽する。
この小説を読むだけで、ゴッホとゴーギャンの人生を一望できる。両者を取り巻く人の人生と共に。
ゴッホもゴーギャンも名前しか知らなかったので、勉強になった。
今回は絵(タブロー)に対する作者の言葉遣いを注意して読んでみた。
たとえば、ゴッホのオーヴェール=シュル=オワーズの教会に対する作者の(登場人物の胸中の言葉としての)描写は次のとおり。
コバルト色の空を背景にすっくり立つ教会が、気品溢れる貴婦人のようにも、痛手を負ってうずくまる巨大な獣のようにも見える。聖俗が混在し、清濁を併せ持つ。それがゴッホの絵の特徴だった。補色を意識した色遣いと呼吸が込められた筆運び、その斬新さ、躍動感にあらためて向き合って、サラは口の中で、ブラヴォー!と称賛した。
絵って、こんな風に表現できるんや…
ちなみに、有名な「ひまわり」に対する描写は次のとおり。
十五本のひまわりたちは、好き勝手にほうぼうへ黄色い顔を向けていた。花のひとつひとつに個性があった。息を止めてサラは見入った。そして、これは花じゃない、と思った。-ーー 人だ。
十五人の個性的な人々。笑い、歌い、喜び、くつろぎ、あくびし、黙考し、恋をして、生きている。全部、違う。全員、すてきだ。ーー ひまわりのような人間たちだ。
こんな風に絵を表現できるようになるには、どのぐらい訓練を積めば良いんだろうか。
美術館行くか…