【感想・評価】理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性

書籍情報|理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性

著者 高橋昌一郎
発行所 講談社
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「理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性」のキーワード

アロウの不可能性定理

パウロスの全員当選モデル

ハイゼンベルクの不確定性原理

相補的解釈

EPRパラドックス

ぬきうちテストのパラドックス

ゲーデルの不完全性定理

テューリングの停止定理

ゲーデル・テューリングの不完全性定理

「理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性」の著者「高橋昌一郎」とは?

「理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性」の著者「高橋昌一郎」は、Wikipediaによれば、次のような人物とされています。

※ この記載は、Wikipediaから自動取得しています。正確性については、別途ご確認ください。

感想/書評|すべての問いは、論理的に正解が導けるか?

私は、学生時代、「すべての問いは、論理的に正解が導ける」と考えていました。

しかし、社会人になってみると、この考えが誤りであったことに気が付きます。

完全な正解を導くことはできず、日々の(思考実験を含む)実験の中で、他の選択肢よりもプラスになりそうな行為を発見し、それを選んでいくしかありません。

本書は、この「すべての問いは、論理的に正解が導ける」わけではない(と考える十分な根拠がある)ことを、偉大な数学者や物理学者の発見を分かりやすい言葉で引用する形で、教えてくれます。

たとえば、アロウの不可能性定理は、集団の合理的選択の限界、ひいては(心社会論を通じて)個人の合理的選択の限界を示します。

また、ハイゼンベルクの不確定性原理は、人の観測の限界を示します。これは、現代の科学が観測に基づく帰納法によって大きく成長してきたことに鑑みると、科学の限界を示すとも評価できそうです。

さらに、ゲーデルの不完全性定理は、自然数論を含む数学システムのすべてにおいて、すべての真理を証明することはできないことを示します。

日常生活を送る上では、私生活や仕事での問題について、「論理的な正解を導くためには時間が足りない!」と思ってしまう機会が少なくありません。

しかし、それは時間的制約の問題ではないのかもしれません。本書を読み、そんなことを思いました。

あと、本書を読んだ後に「三体」を読みましたが、智子のくだりで、本書のEPRパラドックスの話を思い出しました。

感想/書評情報

記録者:DK

記録日:2024年2月3日

読了日:2023年11月

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