書籍情報|LIFE SHIFT
著者 | リンダ・グラットン, アンドリュー スコット |
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翻訳 | 池村 千秋 |
発行所 | 東洋経済新報社 |
楽天ブックス内評価 | |
楽天ブックス内レビュー数 |
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「LIFE SHIFT」のあらすじ(楽天ブックス)
「LIFE SHIFT」のキーワード
エクスプローラー
インディペンデント・プロデューサー
ポートフォリオ・ワーカー
リ・クリエーション
3ステージの人生
コーホート平均寿命
エイジ=ステージ
生産性資産
活力資産
変身資産
ポッセ
長寿
変化
ギグエコノミー
リクリエーション
マルチステージ
感想/書評|3ステージモデルの瓦解
「少子高齢化」という言葉には、悪い印象があります。
本書は、このうちの「高齢化」をプラスの形で取り込む方法を検討しています。
個人の視点
本書によれば、高齢化は、人生のマルチステージ化を促します。
高齢化により、「教育と仕事と引退」という3ステージで捉えられてきた人生は、マルチステージ化します。
個人が「高齢化」をプラスの形で人生に取り込むために、人生を3ステージで捉えず、マルチステージとして捉えることが求められます。
自己理解の必要性
その上で、本書では、マルチステージを生き抜いていくためには、自分についての理解が必要とされています。
自分についての理解が進めば、異なるステージに移行する必要性に迫られたとしても、一つの軸を維持しながら、異なるステージに過去の自分を適合させることができる。これがその理由のようです。
正直、現時点で全面的に賛成することはできないものの、人の本質的欲求として「一貫性を維持したい」という欲求があるところからすれば、受け入れることのできる主張だと思います。
人は、過去の自分と現在の自分、未来の自分が連続していると感じられる状況でこそ、前向きに未来へと歩みを進めるのかもしれません。
人的ネットワークの重要性
また、本書では、「人的ネットワーク」の重要性にも触れています。
マルチステージを生き抜くには変身を遂げるための資産、変身資産が重要性を有します。
この変身資産には、上記の自己理解のほかに、「人的ネットワーク」が含まれます。
多様性に富んだネットワークを構築しておくことが、マルチステージを生き抜く上で必要になるようです。
おそらく、職探しで重要なのは、無形の資産のなかでも知識だと思う人が多いだろう。しかし、マーク・グラノヴェターの説得力ある研究によれば、重要なのは人的ネットワークだ。なにを知っているかではなく、誰を知っているかが大切だというのだ。
…今年は多様性に富んだ人的ネットワークを構築することに注力しようかなと思いました。
社会の視点
社会が「高齢化」をプラスの形で取り込むためには、どうしたら良いか。
本書は、この問いにも答えようとしています。
正直なところ、本書の中でクリティカルな回答は用意できていないように感じましたが、過去の3ステージモデルを前提にした制度は解体され、新たな制度設計が求められることになるという主張は尤もだと思いました。
少し前から日本でもリスキリングなどが流行っています。リスキリング(本書では類似のものとして「リ・クリエーション」という用語が使用されています。)も、3ステージモデルの瓦解に伴って求められる行為だと思います。
高齢化社会の中では、社会としても、リスキリングの機会提供等、個人がマルチステージの長い人生を生き抜く上で必要となる機能を提供していく必要があります。
この機能提供は、政府だけでなく、企業が担っていくことも予想されます。
もしかすると、人生のマルチステージ化に必要とされる機能を考えることは、事業機会の発見にも繋がるのかもしれません。
感想/書評(2)|変化を受け入れる
大学を出て、企業に就職し、結婚をし、家を買い、定年を迎えれば引退してそのまま悠々自適な生活を送る
親世代が当たり前に送ってきたそんな生活を僕たちも同じように送ることはできない
転職・副業・リスキリングが取り上げられてきたことから気づいている人も多いと思うが
教育→就労→引退
の3ステージ型の人生設計は破綻しかけている
理由は単純明快で、寿命が伸びているからである
私が本書を読んだのは大学院の2年の頃である
当時、就職先も決まりある程度の大企業に就職すれば人生安泰だと本気で信じていた時期だ
本書を読むきっかけは忘れてしまったが、読み進めるうちに愕然としたのを覚えている
「親世代のモデルケースに沿って生きていたら、将来幸せになれないんだ」
と強く思った
本書を読んで良かったと思える点として、健全な危機感を得られた事と、変化に対して前向きになれた事だ
私はどちらかと言えば変化に対して否定的であり保守的だ
しかし、変化を否定した先の人生と変化を受け入れた先の人生では
明らかに後者の人生の方が幸せなのではないかと考えるようになった
価値観が変わってしまったのだ
今のところ「積極的に転職して変化を繰り返して~」といった事は特にしていない
しかし、常に良い変化の機会があればそれに乗ってやろうと思うようにしている
全く持って以前の自分とは大きく変わってしまった
しかし自分で納得しているし、健全だと思っている
本書は人生100年時代の生き方について語っている都合上
どの世代が読んでも刺さる内容になっている
私の場合は20代で呼んだが、30代で読んだらまた違った印象を得たかもしれない
今までの、そして今後の人生観を壊す覚悟がある方はぜひ手にとって見てほしい